2022年03月12日
戦争とファッション

MA-1 Blouson
SISE NS-BL-01
湾岸戦争の時は吉本隆明が健在だった。
そうして時の戦争ついて積極的に発言した。
たしかCUT誌上だったと思う。
特別な見識があった記憶はない。
それより言葉にしてくれること自体が、
わたしには嬉しかった。
背景には
自身の青年期の経験があったようだ。
太平洋戦争の頃、
自分のヒーローたちがこの状況をどうとらえ、
なにを考えているのか
青年吉本は聞きたくてたまらなかったそうだ。
今、わたしも同じ気持ちだ。
吉本隆明が生きていたらこの状況を
どう認識してみせるだろう。
清志郎が生きていたら何を歌うだろう。
わたしは若い吉本隆明が
太宰治を訪ねる話が好きだ。
時代は敗戦の直後で、
悶々と過ごしていた文学青年が
自分のヒーローに何か言って欲しくて、
戯曲作品を演劇にする許可をもらうためとかなんとか
言い訳をこしらえて、
迷惑を承知で自宅へおしかける。
太宰は青年を迎え入れ、こう言う。
「男性の本質は優しさだよ。
きみ、その無精ヒゲを剃れよ。」
自分も他人も責めてばかりだった青年は、
重いからこそ許す心を持てないかと言われて
はっとしただろう。
それでもなのかだからこそなのか
吉本隆明は最後まで、
生活の重さを持たないぺらぺらの反戦に手厳しかった。
湾岸戦争の際も、
「湾岸戦争に反対する文学者声明」に
噛みついていた。
今まさに砲撃を受けている人の生と
対峙できるだけの思想をわたしたちは未だ持てていない。
晩年もなお
そのことに苛立っているようだった。
わたしはわたしの両親から戦時中の話を
寝物語に聞いて育った。
防空壕の話。
夜に東京を目指すB-29の列が、
御前崎から上陸し島田の上を
光の群れとなって飛んでゆく話。
配給食料を求めて裸足で河原を何キロも歩く話。
幼かったわたしは
そのうちいつか眠ってしまった。
今、わたしは大人になって、
怯えたまま眠ることができないでいる。
今日の戦争について
わたしのヒーローたちに尋ねてみたい。
わたしは戦争が嫌いだ。




吉本隆明は戦時中のもんぺがファッションとして
穿かれるようになった時代のありようを肯定していた。
ならばミリタリールックがファッションとして
戦争から遠い場所で違う用いられ方をすることを、
わたしは肯定したい。
無精ひげを剃って、
自由に装う姿を礼讃することを
わたしは仕事としたのだ。
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Posted by ナーレンシフ at 19:29│Comments(0)
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